要約(Abstract)について

要約(Abstract)は、論文内で述べる問題点、仮説、方法、そして結果、
結論にいたるまで、その全てをまとめたものになる。
したがって、本文の執筆が終わってからまとめるのが妥当になるが、
学術論文はもちろん、学位論文でも字数指定がある場合が殆どなので
まずは字数を確認し、それに従って詳細の度合いも変えることになる。

ただし、詳細の度合いに関わらず、基本的に要約を書く際のポイントは
変わらないので、以下のような点を頭に入れておくようにする。

• 要約とは、序論から結論までを凝縮した論文全体の概要である。
• 要約を読むだけで論文全体の内容が分かるようになっている。
• 読者が論文を読むかどうか判断できる十分な情報を含める。
• 目的なり方法なりに、論文の新規性・独自性があることが分かる。
• 指定字数が少なく短い場合は「キーワードを繋げる」と良い。

初心者にありがちなのは、背景の説明に字数を割きすぎてしまったり
指定字数におさめようと苦戦した結果、全体のバランスが悪くなること。

また、読者に「詳しく読みたい」と思わせる魅力(新規性や独自性)を
持たせることは重要だが、概要にくどい説明や動機・背景の詳述などは
不要である。各章のどれが欠けてもストーリーが想像できなくなるので、
目的から結論までを過不足なく端的に記述することが望ましい。

なお、どうしても短くまとめられない場合は、「各章で欠けてはならない
キーワードのみ列挙し、それらを接続詞で繋げる」という方法もある。
これも無駄のない文章を作るコツの一つとして覚えておくと良いだろう。